スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

「ボク少女」は実在したのか

管賀江留郎(かんが・えるろう)なる素姓の知れない人物の書いた「戦前の少年犯罪」(2008年、築地書館)という本が私の手元にあります。ありますというか、自分で買ったものなのですが、買ってから一度読んだきりだったのを先日、何年かぶりにパラパラ見ていたら、こんな記述を見つけました。(太字は引用者)


荒木大将はまた同じ時期に「キミ・ボク」禁止令を出してます。女学生の間に「キミ」「ボク」「失敬」なんてな男言葉が流行っていたのです。(190ページ)


著者によると、昭和初期の女学生が「君」「僕」という、現在一般に男性の使うものとされる言葉を話していたというのです。筆者はさらに、昭和9年(1934)の1月4日の読売新聞からの抜粋として、以下のような記者と女学生二人の会話を紹介しています。(表記は適宜改めてあります。)


「あなたがた、学校はどちら?」記者が突然問いかけると、
「しらないわ。」プイッと横を向いて、煙を吐いて、
「君、行こうよ。」
「うん、オフロどうする?」
「もち入って行こうよ。お正月だもん、大丈夫だよ。」


(記者の注によれば、「オフロ入る」はダンスホールに行くことを指す仲間内の言葉だとのことです。)

私の知る限りでは、男言葉・女言葉に関してのよくある指摘と言えば「昔は男言葉と女言葉がはっきり分かれていたが、最近ではその区別があいまいになってきた」というもので、それば「若い女性の言葉遣いが男性のように乱暴になってきている」という嘆きとして聞かれることも少なくありません。そして、戦前の女性たちは、そうした「失われた女言葉」を話していた世代、というのが私の認識でした。

もちろん、上掲の場面でも女学生が「知らないわ」と言っているように、「言ったわ」「そうよ」「そうなのね」といった、女言葉と聞いて今の私たちがイメージする言葉づかいをかつての女性たちがしていたのは事実でしょう。しかしその一方で、男性の言葉づかいを取り入れた女学生たちが、短期間とはいえ、いたかもしれないのです。

ちなみにウィキペディアを見ると、現代ではなぜか「僕」を一人称に使う女の子が「ボク少女」として一部の男性に支持されているそうです。そんな「ボク少女」が70年以上前にいたとしたら、ちょっと面白くないでしょうか?

こうして、「戦前のボク少女」探索が始まったのでした。
スポンサーサイト

テーマ : 語学の勉強 - ジャンル : 学問・文化・芸術

comments

comment form

管理者にだけ表示を許可する

trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

奈津

Author:奈津
198X年生まれ、富山県在住。
フリーランス翻訳者。
関心は雇用(特に若い世代の)とか日本語の変遷とか。
家の周りは田んぼです。

最近のトラックバック
月別アーカイブ
カテゴリー
フリーエリア
ブクログ
twitter
最近のコメント
最近の記事
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

なかのひと
無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。