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君が折りけるもみぢこそ

 「建礼門院右京大夫集 付 平家公達草紙」(岩波文庫)を読み終えました。大学生の時に高田馬場駅前の古本市で買い、いつも真ん中ほどで挫折していたのですが、やっと読了です。建礼門院右京大夫(けんれいもんいん うきょうのだいぶ)という平安末期の宮廷女官の歌集なのですが、「誰々がこんなことを言った」「こんなこともあった」という回想の記述がかなり多く、歌集と回想録を足したような作品です。

 岩波文庫版は現代語訳がないので、訳と解説のある「新編日本古典文学全集」(小学館。分厚くて高価なので買えません)を図書館でところどころ参照しつつ。

 本作には359首の歌が収められています。その中から、いいなーと思った歌を紹介します。

  霜枯れの下枝(したえ)に咲ける菊見れば我が行く末も頼もしきかな

 これは作者の知人が人事異動で(希望が通らなかったか何かで)落ち込んでいたところへ、霜枯れの中に新しく咲く菊を見つけて、将来に希望を感じたというものです。花の生命力を見て元気をもらう、という前向きさが好きです。右京大夫はこれに対し、

  花といへばうつろふ色も徒(あだ)なるを君がにほひは久しかるべし

 という歌を返しています。「花の色は移ろいやすいものですが、あなたの将来はきっと大丈夫でしょう」ということなんですが、「におい」を辞書で引いてみると「香り」のほかに「美しい色合い」さらには「威光、栄華」という意味があります。この一語に何重もの意味を込めたのかなーと考えると、なんだか知的な歌人だ!という気がします。

 しかもこの作者、何人もの男性に言い寄られているといううらやましい女性です(笑)。恋の歌も多いので、特に女性は感情移入できるのではと思います。

建礼門院右京大夫集 (岩波文庫)建礼門院右京大夫集 (岩波文庫)
(1978/03)
久松 潜一久保田 淳

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テーマ : 新書・文庫レビュー - ジャンル : 本・雑誌

comments

選歌、さすがNatsuさんだと敬服いたします。
移ろい逝く心とめぐりめぐる自然の掟、併せて詠むことは本当に難しいのですが、身の回りにある自然にしっかりと目を向けているNatsuさんならではの感じ方があるのだろうな、と。妬ましい(笑)

富山に遊びに行きたいなぁ。
出張、通らなかったのでorz

itoh3uさん、おほめの言葉ありがとうございます。私が直感で「お、これいい!」と思った贈答歌を紹介したのですが、気にいってくださったのならうれしいです。

出張、通らなかったのですかe-330でもまあ、良かったというか、といいますのは、以前にシロエビ云々とおっしゃっていたので、「まだシロエビ漁は始まってないんだけど、どうしよ…」と思っていたのです。シロエビ漁は4月から11月までですので、都合のつくときにお越しください。

3月に急いて来ずとも当分は富山は逃げずここにあります

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プロフィール

奈津

Author:奈津
198X年生まれ、富山県在住。
フリーランス翻訳者。
関心は雇用(特に若い世代の)とか日本語の変遷とか。
家の周りは田んぼです。

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