ヒガンバナに係る諸問題の考察

先日、ヒガンバナ(彼岸花)のことを書きました。ヒガンバナは秋の彼岸の頃に咲くからヒガンバナというんだと思うんですが、じゃあ「彼岸」って何?と思ったので辞書を繰ってみました。

すると「彼岸」は「かのきし」つまり「向こう岸」のことで、もっというと「悟りを開いた境地。煩悩を解脱した涅槃(ねはん)の境地」のことだそうです。そして涅槃は英語(というか、サンスクリット語)で Nirvana 。

つまりヒガンバナは、「ニルバーナの花」なんです。こう書くとちょっとカッコいい。

ヒガンバナ03

いや待て、「涅槃=ニルバーナ」はいいとしても、「彼岸花」には「秋に咲く花」という程度の意味しかないのではないか、という考えもよぎったので、今度はヒガンバナの別名、マンジュシャゲ(曼珠沙華)を調べてみました。

マンジュシャゲの語源はこれまたサンスクリット語の manjusaka 。「見る者の悪業(前世で悪事をしたことによる報い)を払うと言われる、伝説上の天の花」という意味なんだそうです。こちらもやっぱり仏教がらみで、意味合いの上でもニルバーナに当たらずとも遠からずと言えそうです。

前回の記事で「ヒガンバナが墓場によく咲いているのは不思議」と書いたんですが、仏教との関連からすると不思議ではないということになるんでしょうか。しかし、墓地に咲くこの花を見たいにしえの人が、この花を仏教と結びつけたのかもしれませんし、そうなるともうニワトリが先か卵が先か、みたいな話になってしまうのですが。

それを考え出すと今度は、「ヒガンバナは仏教式でない墓地にも咲くのか」ということが気になってきます。私は今のところ、仏教式(宗派は問わない)以外の墓地にヒガンバナが咲いているのは見たことがありません。世界規模でのヒガンバナ調査が待たれるところです。

ちなみに、英語でヒガンバナは lycoris (リコリス)と言います。古代ローマの詩に出てくる女性の名前が由来だそうで、仏教とは全然関係ありません。

また、今回辞書を引いていて知ったのですが、「ねはん」と "Nirvana" は元々同じ言葉だそうです。これ豆知識。

ひとつ賢くなったところで、今日はこのくらいに。
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comments

Re: ヒガンバナに係る諸問題の考察

案外、最初の印象と違う事実に直面すると、違和感感じますよね。

花とは違うんですが、「マグロ」について。
ツナって書くと「サンドイッチ・・・」などのライトな食材ですが、
「まぐろ」と書くと、なんだかお高いイメージ。

彼岸花も、アジア圏ではお墓のイメージですけど、
その他の国では、もっと明るかったりするのかもしれないですね。

黒騎士さん、こんばんは

そうなんですよね!
ツナって聞くと「ツナ缶」を思い浮かべてしまうものだから、ツナのおにぎりを「マグロのおにぎり」とは言わないし、マグロのお寿司を「ツナのお寿司」とは言わないんですよね。イメージがいったん固まっちゃうと、なかなか変わりません。

そういえば、この記事を書くのにヒガンバナのことを調べていたら、白いヒガンバナもあるのを初めて知りました。「ヒガンバナは赤」とばかり思っていた私には、白いヒガンバナの画像は意外というか、すごく新鮮でした

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Author:奈津
198X年生まれ。
フリーランス翻訳者。
関心は雇用(特に若い世代の)とか日本語の変遷とか。
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