なにそれ

足利事件の話。

裁判当時、有罪の決め手になったDNA鑑定が間違っていたことが分かったから再審が始まるだろうと報じられていて、それはまあいいんですが、地元の下野新聞の記事を読んで仰天しました。

<DNA不一致 19年目の足利事件>(下)揺らぎ始めた“真相” 広がる不安と戸惑い 立ちはだかる公訴時効の壁(2009年5月13日)
 菅家利和受刑者(62)ではなく、犯人は別にいる-。その可能性を突き付けたDNA再鑑定不一致の結果に、事件現場周辺では戸惑いや不安など波紋が広がっている。
(略)
 「あの人が犯人だと思っていたから」。現場周辺で活動している地元の探鳥会の男性は、「当時の捜査では犯人らしき人はほかにいなかったんでしょ。今ごろ違うと言われても」とDNA型不一致に困惑する。


 この部分、どう読んでも「『犯人は菅家』で解決したはずだったのに、今になってDNAが違うとかゴチャゴチャ言わないでくれよ」としか解釈できないんですが、そういうことをこの記事は言いたいんでしょうか。
 普通、メディアが「再審開始へ」と報じるときは「19年目にして晴れる冤罪!ようやく実った無実の受刑者の訴え、最新科学が味方」みたいな論調になるのが普通だと思うんですが、下野新聞はすごいです。「真犯人が別にいるなんて話が出てきたせいで地元民が混乱している」って…どういう神経でそんなこと書けるんだ…。

 真犯人が別にいるのか否かについて再審でどう判断されるにせよ、この記事はどうかと思います。

↓5月14日追記。↓
 もちろん、この記事全文を読めば言いたいことは分からないではないのです。
 無実を訴えてきた受刑者の再審請求が認められるのはよいことだけれど、一方で事件現場周辺の人たちは「全く別の真犯人Xがいたというなら、あの事件は未解決ということか」という不安に陥りますよね。これは地元紙にしか書けない切り口の記事だと思います。
 ただ、それを伝えるにはこの記事の書き方は不十分で、「菅家が犯人の方が良かった」としか読めないのです。少なくとも、この探鳥会の男性の談話はいらないでしょう。
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comments

No title

ご無沙汰してます。
そういえば、法学部卒だったんだな・・・っていまさらながらに思ったり。
せっかく法学や人権について学んだからには、そういう取っ掛かりを大事に持たなきゃなって思いました。
>19年目にして晴れる冤罪!ようやく実った無実の受刑者の訴え
っていい見出しだと思います。

No title

itoさん、お久しぶりです。日記拝見してますよ^^

法律の知識は恥ずかしながらあまり残っていないんですが、理念的なこと(法律は弱い立場の人を守る、とか)は今の自分のものの見方をかなり決定付けている気がしますね。それがリーガルマインドといえるほど立派なものかは自信がありませんが。

>いい見出しだと思います。
ありがとうございます。どっちかというと週刊誌の見出しっぽいですね。新聞だとこんなに字数が入らないと思うので。

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Author:奈津
198X年生まれ。
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