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主語と述語を引き裂かないで

先日、家で取っている新聞を何気なく見ていたら、こんな文章に行きあたりました。

「芸妓姿で氷見歩こう まるまげ祭り参加者募集」
「祭りは氷見の芸妓(げいぎ)が既婚女性の象徴だった丸まげを結い、千手寺(幸町)の千手観音菩薩像にお参りして幸せな結婚を祈願したのが始まりとされる」。(★1)


こういう文はとても気になります。分かりにくいのです。

というのは、主語「氷見の芸妓が」と述語「結い」までの間に長い修飾部が入ったせいで、主述が離れすぎているからです。本当の述語「結い」の前に、述語に見える別の語「象徴だった」があるので、「丸まげを」まで読まないと「氷見の芸妓が既婚女性の象徴だった」のかと思ってしまいます。

主語と述語は離さないのが大原則。前掲の文は、

「祭りは既婚女性の象徴だった丸まげを氷見の芸妓が結い、千手寺(幸町)の千手観音菩薩像にお参りして…」(★2)

とすれば、いくらかましになります。

ただ、これでも文頭の「祭りは」(主語)と「始まりとされる」(述語)が離れすぎていますので、これも離さずに書き、

「既婚女性の象徴だった丸まげを氷見の芸妓が結い、千手寺(幸町)の千手観音菩薩像にお参りして幸せな結婚を祈願したのが祭りの始まりとされる」(★3)

とするか、「祭りの起源を説明した文だ」と読む人に文頭で知らせるために

「この祭りの始まりは、既婚女性の象徴だった丸まげを氷見の芸妓が結い、千手寺(幸町)の千手観音菩薩像にお参りして幸せな結婚を祈願したことだとされる」

とした方が良いと思います。まとめると、★1の文は、

<主語1><主語2><修飾部><述語2><述語1>

というサンドイッチ構造になっていました。

★2ではこれを、

<主語1><修飾部><主語2><述語2><述語1>

に変え、さらに★3では、

<修飾部><主語2><述語2><主語1><述語1>

という語順にしています。主語と述語を離さない方が分かりやすい、という例でした。

最近ではある新聞の見出しで、

「東京都が痴漢した職員を懲戒処分」

というものがありました。「東京都が痴漢した職員」とは一体何でしょうか。自治体が職員にどうやって痴漢行為をするのでしょうか…などと書くと「それは難癖というものだ、全体を見れば意味は分かる」と言う人もいるかもしれません。確かに「懲戒処分」まで読めば言わんとすることは分かりますが、下のように直した方が誤解の余地はなくなります。

「痴漢した東京都職員 懲戒処分」

最初の例だと「東京都が」の述語は「懲戒処分」のはずなのに、その前に動詞「痴漢した」があるので、これが述語のように見えてしまうのです。「AがBしたCをDする」という語順は分かりにくくなりがちなのですね。

こういう例を引いて「日本語はあいまいで誤解が生じやすい。その点、英語は誤解の余地がない、より優れた言語」のように言う人もいるのかもしれませんが、日本語でも語順を守れば誤解は避けられます。その「誤解が生じない語順」を知らない人が多いだけ。私の記憶でも、こういうことを国語の授業で習ったことはないように思います。サ行変格活用もいいですが、国語の授業で教えていることは、社会に出てから文章を書く場面で役に立つのか、というのは少し、疑問です。
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テーマ : ことば - ジャンル : 学問・文化・芸術

プロフィール

奈津

Author:奈津
198X年生まれ、富山県在住。
フリーランス翻訳者。
関心は雇用(特に若い世代の)とか日本語の変遷とか。
家の周りは田んぼです。

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