こんばんは。仕事帰りに
フォルツァ総曲輪で映画を見てきました。2回。なんで3日のあいだに2回も同じ映画を見たかというと、人物が多すぎて1回ではよく分からなかったので、復習してもう一度見たのです。わざわざお金(2500円)を払ってそんなことをするくらいですからさぞ面白かったのだろうと思われるかもしれませんが、人に薦めたいかと聞かれると、あまり積極的に薦めたくはありません。暴力シーンが多いので。
以下、気付いたことを箇条書きで。
・3時間を超える長尺だが、最後までダレずに見られる。
・専門用語満載の長台詞を立て板に水のように喋った若い俳優たちに拍手。初めて見る役者がほとんどで、特に坂口を演じたARATA、吉野を演じた菟田高城(うだ・たかき。ウは草かんむりに兔)がカッコいい。2人とも髪型、服、スカーフやメガネといった小道具がしっくりきていた。特に吉野のちょいダサ黒ぶちめがねに愛。
・ファッションと言えば、登場する学生たちがみんなシャツのすそをズボンに入れている。時代を感じるなあ。
・当初、活動にあまり積極的でない遠山。それがなぜか、山へ入る直前には滔々と意見を述べるほどにどっぷりはまっている。この間に何があったのか、2回見ても分からない。おそらく、遠山が高原と付き合っていたことをごく簡単にしか描いてないからだと思う。それを示していれば、遠山に対する森の感情(かつての幹部の恋人ゆえ無下にはできないが、うっとうしい)もなんとなく想像がつくのだけど。
・暴君・森の目つきが怖い。
・永田女王の目つきがその数倍怖い。並木愛枝の鬼気迫る演技に背筋が凍る。森は過去に一度組織を抜けた後ろ暗さからリーダーを務める自信がなく、メンバーにもそう思われているのではと疑心暗鬼に陥り、暴君と化すという経過が描かれているのに対し、登場時からぶっ飛んでいる永田女王。
・位置関係で分かる力関係。一番奥に座る森と永田、脇を固める坂口、吉野、坂東。ちょっと離れてその他大勢。
・その布団は車で運んできたのか。
・そのコタツはあったかいのか。
・そのストーブは(以下同)
・遠山を批判するため、用意周到に鏡を持ち出す永田。そんなものを用意しているのは批判の対象にならないのか。
・加藤兄が命を落としたあと、体がふくらんでいるように見える…のは、おそらくリアル描写。
・森が総括援助と称してメンバーを殴打し始めるや、積極的に加担する坂口と吉野。
・加担しつつも、遠山の錯乱ぶりはさすがに気味悪がる吉野。
・もうイチャモン大会の世界。しまいには勝手に銭湯に行っただけで総括要求される。「理屈と膏薬はどこにでもつく」というのはここから生まれた名言ではないかとさえ思う。
・金子に「かわいい」と言われて、「そっ…そんなこと言われてもうれしくないぞコノヤロー!」とか言い出すツンデレ森を期待した。
・森と永田の手前、誰も総括要求にブレーキをかけられないのかと思っていたら、単独で山本に総括要求を始める坂口。
・というか本当に蹴っているように見えるのだけど。
・そうかと思うと、永田の前で「もう総括が何を意味するのか分からなくなった」と吐露する坂口。
・森、永田、坂口が下山しているあいだ、残ったメンバーがよく解散しなかったと思う。坂口は留守を任されたのだから、報告役には坂東あたりが行けばいいんじゃ…
・冒頭は群衆シーンから入って、徐々に個々のメンバーをクローズアップ。中盤、山岳ベース(特に榛名ベース)のシーンではメンバーの顔のアップが多い(=カメラがメンバーの目の高さからほとんど離れない)。密室の重苦しさや逃げ場のない感じは相当なもので、観客が小屋の中に入ったような感覚になる。それが小屋を捨てたあと、雪原の移動シーンでいきなり引いたショットが増える。→狭い小屋の中しか見えていなかったのが、突然視界が開ける感じ。観客、我に返る。
・永田と坂口の「大丈夫よね」「大丈夫だよ」のやり取りが悲痛。もう全く大丈夫じゃないことを二人とも分かっているのに。
・続く山での焚き火シーンがさらに悲痛。この林間学校のようなほのぼの感は実は、「呆然」なのだと思う。「明日の朝、二手に分かれて包囲網を突破しよう」と提案する坂口。誰も意見を挟まないが、「突破し」てからどこへ行って、何をするというのか。考える力は誰にも残っていない。
・山岳ベースのシーンが衝撃的なせいで、あさま山荘のシーンがエピローグにしか見えない。このあたりから吉野と坂口が善人に見え始めるのは、ルックスのせい。
・長台詞なのだけれど、実は彼らの語彙は少ない。終盤に向かうにつれてそれが顕著になっていく。山荘シーンなんて語彙3つくらいで会話の9割ほど占めている気がする。
・メンバーの主語が「we(我々、俺達、私たち)」。この1語にこんなにも人を追い詰める力があるとは。
・人は割りと簡単に、おかしくなる。
テーマ:考えさせられた映画
ジャンル:映画