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光文社新書のタイトルはなぜ命令形なのか

本が売れない、と耳にします。「出版不況」「活字離れ」という言葉を何度聞いたか分かりません。ですが「みんな本を読まなくなっているのか」と思いきや、活況を呈しているものがあります。「新書」です。私は書店の新書コーナーを定期的に冷やかすのが好きなのですが、行くたびにと言っても過言ではないくらい、次々と新しいレーベルが出ています。

実際、2011年9月にUstで放送された番組「新書のタイトルを考えよう」の書き起こしを見ると、発行点数は年々増えているとあります。

江守: 新書の現状、マーケットの規模はいま128億円。発行点数は昨年で2000点とかあるみたいですね。
江守:2005年ぐらいまでは 1300点ぐらいだったらしいです。1998年は530点とかだったらしいのでぐんぐん増えている。


これだけ出版点数が増えれば玉石混交になるのは当たり前で、内容が薄くてがっかりというものも少なくありません。でも新書のいいところは700~800円台と安いため、面白くなくても「損した、金を返せ」という気持ちにはならないところです。「なんとなく雑誌を買ったが大して面白くなかった」程度の感覚で済みます。本というより雑誌に近い存在になっているのでしょう。これは2年前の記事ですが、新書は「とにかく何でも出してみて、ヒットすればラッキー」くらいのものになってきているようです。

「新書は、数年前からのブームで各社が得意の横並び経営で続々と参入し、書店の新書コーナーを食い合っている。大手は月4冊ペースで出すから、1社で年48冊。大手10社合計なら480冊にもなる。まともな本を書ける著者がそんなにいるわけがない。……「全部署の編集者、何でもいいから知り合いの著者に面白いもん書いてもらえ」というのが現場の実態で、流れ作業的に手間をかけずに、どんどん出しては引っ込めていく。ほとんどの新書は1ヶ月で消えていくから、月刊誌みたいなものだ。」(2010年1月1日MyNewsJapan「『出版不況』の嘘、大盛況の新書マップ」渡邉正裕)


新書は小説などのフィクションでなければ何でもよく、社会・経済、芸術、映画、地理、歴史、恋愛、健康、エッセイ、子育て、若者への説教など実に様々ですが、やはりレーベルごとにカラーはあります。上掲の「新書のタイトルを考えよう」によれば、

御三家:岩波、中公、講談社現代
中堅:ちくま、PHP、集英社、平凡社、角川、光文社、新潮
新興:幻冬舎、小学館、アスキー、ソフトバンク、メディアファクトリーなど


だそうで、なるほどと思いました。

以下、私が勝手に抱いている各レーベルのイメージを書いてみます。順序は前出の序列(?)に合わせました。

【岩波新書】
イメージ:元祖。アカデミック。教養。青版や黄版には古典と化している名著も。
個人的お気に入り:「日本語の起源」(大野晋)、「日本人の英語」(マーク・ピーターセン)、「雇用劣化不況」(竹信三恵子)、「新しい労働社会」(濱口桂一郎)、「労働ダンピング」(中野麻美)

【中公新書】
イメージ:老舗。濃い深緑の表紙が重厚・深遠な感じ。「物語○○(国名)の歴史」など、地理・歴史分野の本の印象が強いです。
個人的お気に入り:「ニュースキャスター」(田草川弘)

【講談社現代新書】
イメージ:老舗。やや難しめ。
思い浮かぶヒット作:「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一)
個人的お気に入り:「世界は分けてもわからない」(福岡伸一)

【ちくま新書】
イメージ:視点がユニーク。面白い。良書が多い。身近な話題を扱う。
思い浮かぶヒット作:特になし
個人的お気に入り:「35歳までに読むキャリアの教科書」(渡邉正裕)、「つっこみ力」(パオロ・マッツァリーノ)、「地域再生の罠」(久繁哲之介)、「煩悩の文法」(定延利之)、「教育の職業的意義」(本田由紀)

【PHP新書】
イメージ:読みやすい。分野は多岐にわたる。自己啓発系のヒットが目立つ。
思い浮かぶヒット作:「女性の品格」(坂東真理子)、「頭がいい人、悪い人の話し方」(樋口裕一)
個人的お気に入り:「7割は課長にさえなれません」(城繁幸)、「世代間格差ってなんだ」(城繁幸・小黒一正・高橋亮平)

書店だけでなくコンビニでも売っているのがPHP新書。「女性の品格」は本家の「国家の品格」より売れたそうですが、売り方がうまいからかもしれません。

【文春新書】
イメージ:真面目。一般ウケをそれほど考えていないように見える。
思い浮かぶヒット作:「断る力」(勝間和代)
個人的お気に入り:「臆病者のための株入門」(橘玲)、「社会調査のウソ」(谷岡一郎)、「危うし!小学校英語」(鳥飼玖美子)

【集英社新書】
イメージ:比較的とっつきやすい。
思い浮かぶヒット作:「悩む力」(姜尚中)
個人的お気に入り:特になし

【角川oneテーマ21】
イメージ:わりと新しい。読みやすい。
思い浮かぶヒット作:「決断力」(羽生善治)
個人的お気に入り:「デフレの正体」(藻谷浩介)、「英語公用語化の何が問題か」(鳥飼玖美子)

【光文社新書】
イメージ:経済や社会問題の本が多い。タイトルが長く、なぜか疑問形や命令形。
思い浮かぶヒット作:「下流社会」(三浦展)、「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(山田真哉)、「お金は銀行に預けるな」(勝間和代)
個人的お気に入り:「若者はなぜ3年で辞めるのか」(城繁幸)、「できそこないの男たち」(福岡伸一)、「金融広告を読め」(吉本佳生)

ちなみに、「会社の電気はいちいち消すな」(坂口孝則)、「食い逃げされてもバイトは雇うな」(山田真哉)も光文社新書。本当に命令形が多いです。キャリアコンサルタントの常見陽平氏のツイートによれば「この10年の雇用論壇は光文社新書を中心に動いた」そうですが…うーん、そうなのか。

【幻冬舎新書】
イメージ:新手。読みやすい。分野が幅広い。対談を字に起こしただけの省エネ作も。
思い浮かぶヒット作:「しがみつかない生き方」(香山リカ)
個人的お気に入り:「加害者家族」(鈴木伸元)

【平凡社新書】
イメージ:読みやすい…けど結構いい加減な本も多い印象。著者が自分の主観だけでばーっと書いていて、言っていることの根拠が謎だったりします。

【新潮新書】
イメージ:薄い。手軽に読める。内容も分かりやすいものが多い。「人生の先輩によるありがたいお説教」系の本が目立つ。「2時間の移動時間」をつぶすには、重すぎなくていい。
思い浮かぶヒット作:「バカの壁」(養老孟司)、「国家の品格」(藤原正彦)、「人は見た目が9割」(竹内一郎)
個人的お気に入り:「国家の命運」(薮中三十二)

【生活人新書】
イメージ:新手。読みやすく分かりやすい。
思い浮かぶヒット作:特になし
個人的お気に入り:「『ニッポン社会』入門」(コリン・ジョイス)

こうタイトルを並べて思ったのですが、「○○力」が多いなあ。斎藤孝さんの「質問力」が売れたせいでしょうか。前出の渡邉正裕氏によればPHP新書は「『頭がいい人、悪い人の話し方』などタイトル付けもうまくて、奇をてらっていない」が、光文社は経営が苦しく、利益が出ないと新書部門ごと捨てられそうなので「新書編集部も「売らんかな」のタイトル付けで、存在感を示すことに躍起になっているように見える」とのこと。私は新潮新書もかなり、「売らんかな」のタイトルが多いように思います。最近では「社畜のススメ」という本もありました。

個人的には、奇をてらうこともなく真面目路線を行く岩波やちくま新書が好きです。「とにかく量産」路線のところは、ヒットが出た著者に類似作を書かせたりすることが多く、あまり好きになれません。著者もそうそう新作を書けないから、本を出すたびに字が大きく、行間が広くなっていったりして、しまいには口述筆記だったりするんですが…香山リカさんとか。やはり本好きとしては、「本への愛情」で作られている本が好き。
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最近読んだ本:雇用と世代間格差関連

最近読んだ本。

7割は課長にさえなれません (PHP新書)7割は課長にさえなれません (PHP新書)
(2010/01/16)
城 繁幸

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世代間格差ってなんだ (PHP新書 678)世代間格差ってなんだ (PHP新書 678)
(2010/06/16)
高橋 亮平、小黒 一正 他

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以上2冊は、いわゆる世代間の不公平の問題を分かりやすく解説してくれています。

35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る (ちくま新書)35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る (ちくま新書)
(2010/10/07)
渡邉 正裕

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若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか若者はなぜ「会社選び」に失敗するのか
(2007/02/23)
渡邉 正裕

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上の渡邉氏による2冊は、自分に合った仕事や働き方を考える上で参考になりました。

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)
(2010/06/10)
藻谷 浩介

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これは特に雇用や世代間格差にスポットを当てているわけではありませんが、「お金を持っているのは中高年から上の世代であり、その多くが消費に回されず死蔵されているため内需が活性化しない」と指摘したうえで「高齢世代から若い世代への所得移転」を提案しています。

POSSE vol.9 もう、逃げだせない。ブラック企業POSSE vol.9 もう、逃げだせない。ブラック企業
(2010/12/10)
POSSE

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この雑誌も、雇用問題に関心のある方にお薦め。

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As a bibliophile

私は紙の本が好きです。紙の本はなくなってほしくないし、紙の本を売る本屋さんもなくなってほしくないと思っています。

そこでできるだけ、

・応援したい作家さんの本は新刊で買う。

・本はリアル書店で買う。なければ注文して取り寄せてもらう。ネット書店では、「見るだけ」。

の2点を心がけています。
だって、紙の本が好きなんだー!

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マンガというからには

書店の「政府刊行物」のコーナーが意外と面白い、ということを昨日知りました。

その中に「マンガで読む防衛白書」というのがあって、ぱらぱら見始めたら、薄い冊子なのですぐ読み終わってしまったんですが、わかりやすい内容でよかったです。アデン湾の海賊対処に絞った内容で、お、こんな活動してるんだね、というのがよく分かります。

注文をつけるとしたら、絵がイマイチ…かなあ。せっかくマンガという形をとっている割には、そのマンガのクオリティが少々残念。かわぐちかいじ氏に描いてもらうとか、どうでしょうか防衛省さん。無理?

護衛艦内での会話に「総員起こし」「ワッチ」「直明け」など業界(?)用語がさりげなく散りばめられていたところに、リアルさを出そうという意気込みを感じました。しかもそういう用語を欄外で解説してたりして、妙なところで親切です。

モリー先生

学校の図書室に「モリー先生との火曜日」があったので最初の部分を読んでみると、語彙がそんなに難しくなくて読み進めやすいなという印象でした。しかし眠くなって、いつの間にかうとうとしていました…。

それにしても、冒頭でモリー先生が難病で余命わずかと判明するってことは、ラストで先生が死ぬってことですよね。そんな落涙必至の話なんてちょっと敬遠してしまいます。「火垂るの墓」を見れない心理に近いものがあります。

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プロフィール

奈津

Author:奈津
198X年生まれ、富山県在住。
フリーランス翻訳者。
関心は雇用(特に若い世代の)とか日本語の変遷とか。
家の周りは田んぼです。

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